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歯科用レントゲン被曝の真実|本当に大丈夫?を徹底解説

  • 執筆者の写真: 田所歯科医院 院長
    田所歯科医院 院長
  • 1月9日
  • 読了時間: 6分
歯科用パナラマレントゲン写真


「レントゲンを撮りますね」と言われたときに、心の中でふと浮かぶ不安。

「被曝って大丈夫なの?」「頻繁に撮って将来のガンのリスクは上がらない?」

医療側は「大丈夫ですよ」と説明しますが、「どのくらい大丈夫なのか?」までは、なかなか具体的に聞けないものです。

この記事では、歯科用レントゲンの被曝量を科学的な数字で示しながら、リスクとメリットの“本当のバランス”をわかりやすく解説します。


1.そもそも「被曝量」はどうやって比べるの?

放射線の“量”は、一般的にmSv(ミリシーベルト)という単位で表します。ただ、数字だけを見てもピンと来ません。

そこでよく使われるのが、

  • 自然界から1年間に受けている放射線量(自然放射線)

  • 飛行機に乗ったときの宇宙線

  • 胸のレントゲン・CTなどの医療被曝

と比較する方法です。


世界的なデータでは、人が自然界から1年間に受ける放射線量は約2~3 mSv/年とされています。

この“2~3 mSv”と比べて、歯科用レントゲンがどの程度なのかを見ていきます。


2.歯科レントゲンの被曝量はどれくらい?

研究や国際機関のデータをまとめると、歯科用レントゲンの被曝量はおおよそ次の通りです。

  • デンタル(小さいフィルム1枚・口の中のレントゲン)→ 約 1~8 μSv(0.001~0.008 mSv) 

  • パノラマ(お口全体をぐるっと1枚で撮るタイプ)→ 約 4~30 μSv(0.004~0.03 mSv) 


自然放射線(2~3 mSv/年)と比べると、

  • デンタル1枚:数時間~1日分前後の自然放射線

  • パノラマ:数日分程度の自然放射線


つまり、日常生活で自然に浴びている放射線と比べて、歯科レントゲン1回の被曝はかなり小さいというのが科学的な事実です。


3.胸のレントゲンやCTと比べると?

他の医療検査と比較すると、その差はさらにわかりやすくなります。

おおよその目安は次の通りです。

  • 胸部レントゲン:約 0.1 mSv

  • 頭部CT:約 2 mSv

  • 胸部CT:約 7~10 mSv

これに対して、

  • デンタル1枚:0.005 mSv 前後

  • パノラマ:0.014~0.03 mSv


CTなどと比べると、歯科レントゲンは桁が違うほど少ないことがわかります。特に、デンタルやパノラマは「必要性があるなら、リスクよりメリットの方がはるかに大きい」レベルと評価されています。


4.「ゼロではない」からこそ守られているルール

被曝量が少ないとはいえ、放射線はゼロだから安全」ではなく、「リスクは極めて小さいがゼロではない」という扱いです。そのため、世界的にはALARA(アララ)という考え方が徹底されています。


ALARA:As Low As Reasonably Achievable「合理的に可能な範囲で、できる限り少ない線量にしよう」

歯科のガイドラインでは、以下のようなことが推奨されています。

  • 必要性のないレントゲンは撮らない

  • 既に他院で撮った画像があれば、可能な範囲で活用する

  • デジタルレントゲンで線量を低減する

  • 撮影範囲(視野)を必要最小限に絞る

  • 子どもや若年者ほど慎重に判断する

つまり、「必要なときにはしっかり撮る」「いらないときは撮らない」というメリハリが大事です。


5.デジタルレントゲンで被曝は本当に減っているのか?

結論から言うと、はい、減っています。

古いフィルムタイプのレントゲンに比べて、現在主流のデジタルレントゲンは最大90%程度線量を減らせるとする報告もあります。

理由は、

  • 高感度センサーのため、少ない線量で撮影できる

  • 画像処理でコントラストや明るさをあとから調整できる

  • 撮り直しが減る

などです。

つまり、設備をちゃんと更新している歯科医院ほど、同じ“1枚のレントゲン”でも被曝は少なくて済むといえます。


6.子どもや妊婦さんは大丈夫?

● 子どもの場合

子どもは大人より放射線への感受性が高いといわれています。そのため、国際的にも「子どものレントゲンは特に必要性を慎重に判断すべき」とされています。


ただし、虫歯の進行が早いのも子どもです。レントゲンを撮らずに見逃してしまい、

  • 神経まで進行

  • 将来の歯並びに悪影響となる方がトータルのリスクは高くなります。

「可能な限り少ない枚数で、必要なタイミングでだけ撮影する」これが、子どものレントゲンの基本方針とされています。


● 妊婦さんの場合

「妊娠中にレントゲンを撮っても大丈夫ですか?」という質問もよくあります。

歯科レントゲンは照射範囲が口の周囲に限られ、腹部からはかなり離れていること、さらに線量自体が非常に低いことから、国際的な指針でも“胎児への影響は無視できるレベル”と評価されています。

ただし、

  • 妊娠初期で不安が強い場合

  • 緊急性のない検査の場合

には、撮影時期をずらしたり、主治医と相談した上で判断することが多いです。


7.防護エプロンは必要?最近の考え方

「レントゲンのときに鉛のエプロンをしなかったけど大丈夫?」という不安もよく聞きます。

最近の放射線防護の考え方では、

  • 現代の歯科レントゲンは照射範囲が非常に限定的

  • 散乱線も少なく、甲状腺や生殖腺への線量はごくわずか

  • 不適切な位置の防護具がかえって自動露出機構を誤作動させ、線量が増える場合もある

といった理由から、通常の撮影での防護エプロンは必須ではないという見解も増えています。

ただし、

  • 患者さんの安心感

  • 子どもや妊娠中の方への配慮

といった観点から、田所歯科医院では防護エプロンを使用しています。


8.「どのくらいの頻度までなら安全?」という質問について

よく聞かれるのが、

「年に何回までなら大丈夫ですか?」

という質問です。

実は、医学的なガイドラインは「回数」ではなく「必要性」で判断するよう作られています。

例えば、

  • 重度の歯周病で骨の状態を定期的に確認する必要がある

  • 根管治療中で、治療の進行確認が必要

  • 外傷で歯根や骨折の評価をしたい

などの場合、レントゲンを撮らないことのリスクの方が大きくなります。


逆に、症状もなく口腔内の変化もないのに、毎回なんとなくレントゲンを撮るのは望ましくありません。


9.歯科レントゲン被曝の“本当の結論”

科学的なデータと、世界のガイドラインを総合すると、歯科用レントゲンについての“結論”はこうなります。

  1. 1回あたりの被曝量は、自然放射線や他の医療検査と比べて非常に少ない

  2. デジタル化により、昔よりさらに低線量で撮影できるようになっている

  3. 必要なときに適切に撮影することで、むしろ「病気の早期発見」という大きなメリットがある

  4. 「撮りすぎ」を防ぐために、世界的にALARAの考えが徹底されている

つまり、

「なんとなく不安だから断る」よりも、「必要な理由を聞いた上で、納得して撮る」ことが大切

ということです。


10.不安なときは、遠慮なく聞いてください

レントゲンに限らず、「不安だけど、聞きづらい」というテーマは、口の中のことにたくさんあります。

本来、医療側がすべきことは、

  • どれくらいの線量なのか

  • 何のために必要なレントゲンなのか

  • 撮らなかった場合のリスクは何か

を、ていねいに、わかりやすく説明することだと考えています。


歯科用レントゲンの被曝は“ゼロ”ではありません。しかし、科学的に見れば、適切に使われている限りリスクは非常に小さく、それ以上に得られるメリットが大きい検査です。

もしレントゲンについて不安や疑問があれば、「今日のレントゲンは何のために必要なんですか?」と、どうぞ遠慮なく聞いてください。


 
 
 

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