top of page

噛めなくなると認知症リスクが上がる?最新研究を解説

  • 執筆者の写真: 田所歯科医院 院長
    田所歯科医院 院長
  • 2 日前
  • 読了時間: 5分


― 「よく噛むこと」は“脳の健康習慣”と言えるのか ―

「最近、物忘れが増えてきた気がする…」「歳をとっても元気でいたいけれど、認知症はやっぱり不安…」


そんなときに耳にするのが、「噛めなくなると認知症リスクが上がるらしい」という話。


これはイメージだけの話ではなく、歯・噛む力と認知症リスクの関連は、世界中で研究が進んでいる分野です。



「歯が少ない=必ず認知症になる」という“決めつけ”は間違い。


この記事では、

  • なぜ「噛むこと」が脳に良いと言われるのか

  • 歯の本数・噛む力と認知症リスクの関係

  • 2020年代の最新研究が示していること

  • 今日からできる「脳のための口のケア」

を、できるだけかみくだいて解説します。


1 なぜ「噛むこと」が脳に関係するの?


噛むと“脳の血流”が増える


ガムを噛んだり、しっかり食事を噛んだりするとき、脳(特に前頭葉海馬といった「記憶」に関わる部分)の血流が増えることが、脳の血流測定やMRIの研究で分かっています。


この「脳への血流アップ」が、

  • 集中力

  • 記憶力

  • 反応の速さ

などに良い影響を与えるのではないか、と考えられています。


歯・顎・舌からの刺激が“脳を揺さぶる”


噛むときには、歯根・歯ぐき・顎の関節・口の周りの筋肉・舌などから、大量の感覚情報が脳に送られます。

これらの刺激が、脳にとって「良いトレーニング」になっている可能性が指摘されています。


2 歯が少ない人ほど認知症リスクが高い?大規模研究の結果


ここからは、実際の研究結果をかんたんに要約します。


残っている歯の本数と認知症


日本の高齢者を対象にした研究では、残っている歯の本数が少ない人ほど、将来認知症を発症するリスクが高かったという結果が報告されています。


ある研究では、20本以上歯がある人に比べて

  • 10〜19本の人:認知症リスク 約1.6倍

  • 1〜9本の人 :認知症リスク 約1.8倍

という傾向が見られました(年齢や生活習慣などを補正した上で)。


研究のまとめ

複数の研究をまとめた“総まとめ論文”でも、歯を失うことと認知症リスクの上昇には、一貫した関連があると報告されています。


もちろん「歯が少ないから絶対に認知症になる」とは言えませんが、歯・噛む力が“認知症リスクを左右する一つの要因”になっている可能性は高いと言えます。


3「噛めない」ことと認知症の関係に注目した新しい研究


最近は、単に「歯の本数」だけでなく、「実際にどれくらい噛めているか(咀嚼機能)」 に注目した研究が増えています。


噛む機能が低い人ほど認知症が多い


2020年以降のレビューや観察研究では、

  • 噛む力が弱い

  • 硬いものが噛めない

  • 義歯が合っておらず、実質的に噛めていない

といった人ほど、認知機能が低い/その後の認知症発症が多いという結果が相次いで報告されています。


また、日本の高齢者を対象にした最近の縦断研究(2024年発表)でも、噛む機能・舌や唇の機能・飲み込みの機能など、口の機能が低下している人は、数年のうちに認知症を新たに発症するリスクが高かったとされています。


4「噛めない → 認知症」ではなく、「いくつもの要因が絡み合う」


ここでとても大事なのが、「噛めないから認知症になる」という“1対1の因果関係”ではない、という点です。


研究が示しているのは、

  • 歯が少ない

  • 噛めない

  • 柔らかいもの中心の食生活になる

  • 栄養バランスが崩れる

  • 活動量が減る

  • 社会参加が減る

こうした要素が重なり、結果として認知症リスクが上がっているのではないかということです。

つまり、「歯を守れば認知症が絶対に防げる」ではなく、「歯を守ることは、認知症リスクを下げる“重要なピースの一つ”」

と考えるのが、今の科学的な見方に近いです。


5 歯が少なくても“しっかり噛めれば”リスクは下げられる?


希望の持てるポイントもあります。


入れ歯やインプラントで「噛む機能」を回復すると…

  • 入れ歯治療やインプラントで噛めるようになった高齢者では、噛むときの脳血流が改善したという報告があり、咀嚼機能を回復させることが脳の働きを保つ可能性が示されています。

  • 一部の研究では、義歯の調整や噛み合わせの改善が、認知機能テストのスコア改善と関連したという結果も出ています。


まだ「治療すれば認知症予防ができる」と断言できる段階ではありませんが、“噛める口”を保つことは、脳にとって確実にプラス材料と言えそうです。


6 今日からできる「脳のための口のケア」


① 歯をできるだけ多く・長く残す

  • むし歯・歯周病の早期発見

  • 3〜4ヶ月ごとの定期検診

  • 丁寧な歯みがき+フロス・歯間ブラシ

は、「歯の寿命」だけでなく「脳の寿命」にも関わるかもしれないポイントです。


② よく噛んで食べる習慣

  • 早食いをやめる

  • 飲み込む前に“あと5回噛む”を意識する

  • 少し噛みごたえのある食材(根菜・きのこ・ナッツ類など)を取り入れる

など、“噛む回数”を増やす工夫は、今日から誰でもできます。


③ 入れ歯・ブリッジ・インプラントを“放置しない”

  • 合っていない入れ歯

  • グラグラして噛めない歯

  • 取れたまま放置したブリッジ

これらはすべて、「噛めない口」を作る原因になります。

「歳だから」「今さら…」と思わず、“今からでも噛める状態に近づける”ことがとても大切です。


④ 江戸川区のオーラルフレイル・歯つらつチェックを活用

江戸川区では、口の機能低下(オーラルフレイル)を早期に見つけるための「江戸川歯つらつチェック」などの制度があり、認知症リスクと関係する“食べる・噛む・話す”力を確認できます。

田所歯科医院でも受診可能なので、「まだ元気なうちにチェックしておく」のがおすすめです。


7 まとめ:噛める口は“第二の脳貯金”

  • 噛むことは、脳の血流や活動に良い影響を与える可能性がある

  • 歯の本数が少ない/噛めない人ほど、認知症リスクが高いという研究が多数

  • ただし、あくまで「リスク要因のひとつ」であり、生活習慣全体が重要

  • 歯を守る・噛める状態を維持することは、“脳の健康づくり”の一部


人生100年時代、「どれだけ歯を残せるか」「どれだけ噛めるか」は、“どれだけ自分らしく生きられるか”と深くつながってきています。


歯や噛む力に不安がある方は、「もう歳だから…」ではなく、“今からできること”を一緒に考えていきましょう。


田所歯科医院では、

  • 歯周病・むし歯の予防

  • 入れ歯・ブリッジ・インプラントの相談

  • 江戸川歯つらつチェック(オーラルフレイル)などを通して、お口からの認知症予防をサポートしています。



 
 
 

コメント


bottom of page